日本各地でキャビア生産が広がる中、
岐阜県中津川市で“幻のキャビア”
と呼ばれる養殖の現場を視察する
機会をいただきました。
世界でも極めて希少とされる
「ゴールデンキャビア」。
これはアルビノと呼ばれる
先天性の色素欠乏症の
チョウザメから採卵されたキャビアです。
今回はそのゴールデンキャビアの
生産現場を実際に訪れ、
作り手の想いと技術に触れることができました。


黄金に輝くキャビア「アルマス」
ゴールデンキャビアは「アルマス(Almas)」とも呼ばれます。
アルマスとはイラン語で「ダイヤモンド」を意味する言葉です。
その名の通り、
このキャビアは世界でも極めて希少であり、
世界で最も高価なキャビアの一つとして知られています。
キャビアの黒い色は
メラニン色素によるものといわれています。
しかしアルビノのチョウザメは
色素を持たないため、
卵は黄色味を帯びた白い卵となり、
塩をあてる事で黄金色のキャビアとなります。
その誕生確率は、
およそ2万匹に1匹とも言われています。
アルビノの個体は先天的に体が弱く、
卵を持つまで育て上げること自体が非常に難しいとされています。
通常のチョウザメに比べて非常に繊細で、
成長の過程で命を落としてしまうことも少なくありません。
水温や水質のわずかな変化にも影響を受けやすく、
日々の飼育管理には細心の注意が求められます。
さらに、キャビア自体、チョウザメのお腹で成熟するまでには長い年月が必要です。
その間、安定して育て続けるためには、膨大な時間と労力、そして継続的な管理が不可欠となります。
こうした数々の困難を乗り越えて、ようやく一粒のゴールデンキャビアが誕生します。
そのためゴールデンキャビアは通常のキャビアと比べて
生産量が極めて少なく、まさに“幻のキャビア”と呼ばれる存在です。
価格は1g1万円です。
高級食材の中の高級食材という位置付けで、
通常のキャビアに比べると約16倍の価格となります。
(通常キャビアは約600円/g程度)
光を受けると、その粒はまるで宝石のように美しく輝きます。

山と清流に囲まれた養殖環境
このキャビアが生まれているのが、岐阜県中津川市。
木曽川水系の豊かな水に恵まれた地域です。
山々に囲まれた静かな環境の中、
休耕田を利用した約2ヘクタールの養殖場で
チョウザメはゆっくりと育てられています。

キャビアというと、
多くの人がロシアやイランなど
海外産を思い浮かべるかもしれません。
しかし近年、
日本の養殖技術は世界的にも
高く評価されており、
日本各地で個性豊かなキャビアが生まれています。
中津川のキャビアもその一つであり、
特に注目されているのが黄金色に輝く
「ゴールデンキャビア」です。
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繊細で上品な味わい
完成したゴールデンキャビアは、
まず上品な香りが広がります。
口に含むと粒がやさしくほどけ、
バターのようなコクと旨味が広がります。
塩味は控えめで、余韻は非常にクリーン。
日本の食文化にも寄り添う、
繊細で上質なキャビアだと感じました。
作り手の想い

このキャビアを生み出しているのが
S Caviar Labo(エスキャビアラボ)の
大山晋也さんです。
大山さんはこう語ります。
「単に高級食材を作るという発想ではなく、
地域の自然と日本の技術を活かした
“世界に誇れるキャビア”を生み出したい」
チョウザメの養殖は、
卵を得るまでに長い年月が必要です。
水質管理や飼育環境など、多くの課題もあります。
それでも大山さんは、
豊かな水に恵まれた中津川の環境なら
世界に通用するキャビアを
作ることができると信じ、
挑戦を続けてきました。
その中で誕生したのが、
黄金色に輝く「ゴールデンキャビア」です。
実際に、このゴールデンキャビアの生産に成功している
養殖場は世界でもわずか数軒と言われています。
日本において、
この希少なキャビアを安定して生産しているのは、
S CaviarLaboの大山晋也さんただ一人です。
(*2026年2月時点。日本キャビアソムリエ協会調べ)
地方から世界へ

大山さんにとって重要なのは、
キャビアの希少性だけではありません。
彼が目指しているのは
キャビアを通して日本の地方から
世界へ価値を発信することです。
山間の小さな町でも、
世界が驚く食材を生み出すことができる。
その可能性を証明したいという想いが、
中津川でのキャビアづくりの原動力となっています。
大山さんは、
キャビアを単なる高級食材としてではなく
地域の未来を切り開く新しい産業として
育てていきたいと考えています。
黄金のキャビアが示す未来
岐阜県中津川のゴールデンキャビア。
その一粒一粒には
豊かな自然、生産者の情熱、
そして日本の食文化の未来が詰まっています。
中津川で見た黄金のキャビアは
単なる珍しい食材ではなく、
地方から世界へ挑戦する、
日本の食文化の象徴のように感じられました













